耐震診断

耐震診断は、大地震(震度6強または7程度)時に既存の木造住宅が倒壊するかどうかを診断することで、その目的は倒壊して尊い命が奪われることがないよう対策を促すことです。

倒壊とはどのような状況かと言えば、建物の重量は「柱」が支えており、揺れによって建物の変形が大きくなると傾いた柱が上部の重量を支え切れなくなる、実際には、1階の柱が2階より上の重量(平家だったら屋根の重量)を支えられなくなって押しつぶされる状況を言います。

建物倒壊のメカニズム
木造住宅の耐震診断・耐震補強設計・補強工事の勘所 佐久間順三 より引用

 

つまり、建物の倒壊には三つの要素「建物の重量」「変形の大きさ」「重量を支える耐力(主に柱の本数)」が大きく関係しており、これを改善すれば建物は倒壊しにくくなります。

 

1)建物重量を軽くする:屋根、床、壁などを軽くする。

2)変形を小さくする:耐震補強壁を増設する。

3)支える耐力を大きくする:柱を増設する。(シロアリ被害の柱や梁を改修する。)

 

 

耐震診断による耐震性能の判定は、建物の上部構造評点の計算によります。

上部構造評点=保有する耐力÷必要耐力

 

0.7未満:倒壊する可能性が高い、0.7以上1.0未満:倒壊する可能性がある、1.0以上1.5未満:一応倒壊しない、1.5以上:倒壊しない

上部構造評点の区分と建物被害の状況
木造住宅の耐震診断・耐震補強設計・補強工事の勘所 佐久間順三 より引用

 

計算方法の詳細は省きますが、保有する耐力の評価は建築基準法の改正により厳格化された内容(金物補強等)と建物の劣化度が大きく影響するので上部構造評点は1.0を下回ることが多く、したがってかつて一般にごく普通に建てられた建物のほとんどは「倒壊する可能性がある」と判定されることになります。しかし、近年の大地震でも「倒壊する可能性がある」と判定されていたとしても倒壊しなかった建物が多々あるのも事実です。

 

では、万が一に備えてどのような取り組みを行っておくべきでしょうか。上記1)~3)について

 

1)これは住んでいる方にもイメージしやすく、出来る対策があります。例えば、2階に大量の本棚があれば1階に移すなど重量物を1階に移動する、またその後も2階に置かないということが可能です。

2)3)は、なかなかDIYでは難しいのでご相談頂いた方がいいと思います。建築mikanは耐震診断から補強設計・補強工事に至るまで、またそれらを含んだリフォーム・リノベーションが得意です。

 

費用の目安は、耐震診断は15万円(一般診断法)、補強設計は20万円、補強工事は約150~300万円です。